テレビでよく見る歴史学者の磯田道史先生。たくさん本を書いているようだけど、難しそうで手が出せない。
そんなかた、いませんか?

もったいない、もったいない!
一歩踏み出せないあなたに、めくるめく「磯田ワールド」の入り口をご案内します。
もくじ
大学で磯田道史先生の講義を経験した私のおすすめ本3選
大学時代は毎週、磯田先生の講義を受けていた磯田っちファンの私が、おすすめの本を紹介します!

参考にしてね!
【おすすめ No.1】武士の家計簿 「加賀藩御算用者」の幕末維新
磯田先生を知るために、まず読んでほしい1冊。映画化され、話題になった新書です。
いままでの新書のイメージが覆りますよ。おもしろくて。
大学の講義の中で「よければ買ってね」と宣伝していたのを覚えています。

宣伝上手
平和な徳川の世ではほとんど戦うことがなかった武士。そろばんで家族を守る武士。
これがリアルな江戸だったりするんです。意外に思うかもしれませんが。
例えば・・・
武士を最も困窮させていたもの・・・ご存じですか?
※困窮・・・お金がなくなり、苦しむこと
親戚づきあいや家来の給料、季節ごとの行事や寺社への奉納にかかる費用。

磯田先生は「身分費用」と呼んでいます
武士として張らねばならない「見栄」ですね。
こういった時代特有の背景や暮らしぶりを、1冊の古文書(家計簿)から明らかにしていく様子はお見事!

古文書をスラスラと読み解く磯田先生にしか書けないね
2010年には『武士の家計簿』のタイトルで映画化されました。
メガホンをとったのは森田芳光監督。『失楽園』や『模倣犯』など数々のヒット作を生み出しています。
(森田監督は、『武士の家計簿』公開の翌年に逝去なさいました。)
映画では、本で明らかにされた事実をもとに、支え合って家計を立て直していく家族が描かれています。
笑いあり、涙ありの猪山家の日常をのぞくのがとても心地良い、なんとも言えず晴れ晴れとした気持ちにさせてくれる映画ですよ。

堺雅人さん演じる生真面目な猪山直之がイメージピッタリ!

予告編だけで泣ける・・・
【おすすめ No.2】無私の日本人
3編で構成された本書では、歴史の中から掘り起こされた3人の人物がそれぞれ描かれています。
小説風に進んでいくので、とても読みやすいです。新書が苦手な方は、こちらから入られてもいいですね。
あとがきの磯田先生の言葉が印象的でした。
ほんとうに大きな人間というのは、世間的に偉くならずとも金を儲けずとも、ほんの少しでもいい、濁ったものを清らかなほうにかえる浄化の力を宿らせた人である
出典:『無私の日本人』あとがき

この言葉に私の心が浄化されたのは言うまでもない
公のために力を尽くす日本人の姿に感動を覚えます。そしてその方々に敬意をもって本書を執筆された磯田先生にも。
日本の誇るべき美徳が描かれ、日本人としてどう生きていくのかを改めて考えさせられる1冊です。
こちらの本も、1編目の「穀田屋十三郎」が『殿、利息でござる!』のタイトルで映画化されています。

羽生結弦選手が殿様役で出演したことが話題になったね
舞台は仙台。伊達藩(仙台藩)の貧しい宿場町に生まれた商人が、同志を集めて宿場町を救うため、奔走するというストーリーです。
「東日本大震災」という未曽有の大災害から復興しようとしている日本の姿と重なり、当時、心が震えたのを覚えています。

羽生君も地元仙台のために一肌脱いだってわけね

ちょんまげ似合ってる
試写会では、主演の阿部サダヲさんがこんなエピソードをお話しになってました。
試写が終わって外に出たら、泣き叫んで騒いでいる男性がいたんです。大丈夫かなと思ったら磯田先生でした(笑)
出典:朝日新聞AERA
映画があまりに素晴らしくて号泣していたんですって。笑
原作以上に見事に登場人物を描いてくれた監督に、涙声でお礼を言ったそうですよ。

う~ん、磯田先生らしい!
劇中には磯田先生も出演しています。のうのうとお米を食らう悪いお奉行様を演じるため、9㎏太って撮影に挑んだそうで。

役者か!
【おすすめ No.3】災害と生きる日本人
こちらの記事内でもご紹介しています。

万葉集研究の大家にして「令和」の考案者では・・・とメディアにもたびたび取り上げられる中西進先生との共著です。


中西先生は磯田先生が司会を務める『英雄たちの選択』にも出演してたね
地震、噴火、津波と多くの自然災害のなか生きる日本人。話は人災=戦争と死生観にまで広がります。
過去の歴史を振り返り、現代に活かすべき先人の知恵を語っています。
別の分野から同じように日本を愛する「文学者」と「歴史家」の対談。令和に生きるすべての日本人に読んでほしい内容です。

まさに「今」読むべき1冊です!
オマケのおすすめ2冊:個人的に読みたい!『龍馬史』『素顔の西郷隆盛』
龍馬史
教科書から表記が消えたとウワサの坂本龍馬。
しかしながら、根強いファンは絶えません。わたしもその一人です。
無名の人物を掘り起こすことで有名な磯田先生が、あえて龍馬を語るのだから、絶対に「誰も知らない真実」を解き明かしているはず・・・!

う~ん、読みたい!
有名人といえば、「西郷隆盛」についても本を出していますね。大河ドラマ『西郷どん』の時代考証をされていたので当然といえば当然。

龍馬と同じ時代に生きた西郷どんか。合わせて読まなきゃ
まとめ:歴史が、日本が好きになる!ようこそ磯田ワールドへ
「歴史家」という肩書から、なんだか著書も難しそう・・・
そんな方にもおすすめできる3冊を紹介しました。映画と合わせてどうぞ。
筆者おすすめの3冊+2冊
- 武士の家計簿 「加賀藩御算用者」の幕末維新
- 無私の日本人
- 災害と生きる日本人
- 龍馬史
- 素顔の西郷隆盛
ちなみに磯田先生、本を書くときはこんなことを考えているそう。
本に書く時は、ちょっと寂しい気もしますね。
自分だけが知っている情報だけど…まぁ、分けてやるか。あっ!これ偉そうでいけませんね。出典:サワコの朝振り返りコラムより

講義の時もそう思ってたのかな?
何百年も昔の、文字も解読できないものを掘り起こして現代に伝え続ける磯田先生。それらを目の当たりにできるなんて、超ラッキーなんです。
分けてくれてありがとう磯田先生。読まない選択肢はありませんね。

めくるめく磯田ワールドから抜け出せなくなるよ
3冊では物足りなくなったあなたはこちらで探してみてね。
参考 磯田道史先生の本